京都伏見の寺田屋のすぐ近くにて、お庭をつくらせていただいたのは11月のこと。

京町屋典型の奥に細長い敷地です。

今回お庭をつくらせていただく場所は、元々は前後の建物に挟まれた中庭であった所です。
前面の建物は既に取り壊されておりまして、そこにはガレージをつくらせていただきます。

庭の敷地のほぼ中央に巳神さまが祀られている祠がありまして、その西側には今も使われている古井戸がありました。
これらのものを残しつつ、ここを綺麗なお庭にするというお仕事です。

ここのお施主さんには小学校1年生の〝シュンちゃん〟という男の子がいます。
シュンちゃんは全く人見知りをしない子でして、初めて会ったときから、僕に人懐っこく話しかけてくれました。

工事が始まってからも、さすが男の子。
自分の家の庭で工事をしているのが興味津々なのでしょう。
学校から帰ると、ずっと僕らが帰るまで工事中の庭の周りにべったり。

じ~っと僕らの仕事を観察しては、置いてある道具を持ってきて見様見真似で使ってみたり。
めっちゃ楽しそうにしています。

しかし、結構危ない道具が多いので、怪我をすると大変です。
好きなだけやらしてあげたいんですが、ずっと見守ってやるわけにもいきません。

仕方なく、「じゃあシュンちゃん、監督してよ。現場監督に任命!監督には毎日、現場の写真を撮ってもらおうかな。たのむで♪」って言うと、シュンちゃん大はりきり。

それから小っちゃい現場監督との庭づくりが始まりました。

毎日、学校から帰ってくると、
「お~このおっきい石、カッコいい~」とか、
「わ~壁が出来てる~」とか、
日ごとの工事の進捗状況にいちいち感動してくれます。

小っちゃい現場監督さん。
職人のモチベーションを上げるの上手上手♪

偉いもので、工事は一か月近くかかりましたが、最後まで監督をやってくれました。
たくさん写真を撮ってくれてました。
普通はすぐ飽きてもおかしくないんですけどね。

シュンちゃんと一緒につくった庭。

古井戸の横の手押しポンプはお施主さんが〝自分の庭をつくるときに〟と持ってらした物。

玄関前の蹲踞は銭型の水鉢を使いました。

門柱はご主人と相談しながら遊び心で漆喰で仕上げてみました。

しかしあれですね。

庭をつくる場面ってのは大人でも滅多に出くわすこともないですから、ただでさえ好奇心旺盛な子どもが興味を持つのは理解できます。
だけど、みるみる内に出来上がってくる!というようなものでもなく、ひとつひとつの作業は結構地味な作業が多いですから、暫くすると大体すぐ飽きるってのがオチなんですけど。

シュンちゃんほどの子も珍しいです。
ひょっとすると、大きくなったら造園屋さんになるって言い出すかも♪

いやでも、かなり利口な子でしたから、もっと人の役に立つ仕事に就いてほしいとも思いますね。
まぁ、それを僕が考えるのは余計なお世話でしょうけど。
でも、彼が大きくなって立派な青年になったとき、一度会ってみたいなぁなんて。

おっと。
そんなことを言い出すほどのおっさんになってしまいましたか。

年内のお仕事もあと少し。
ラストスパートです。

気を抜かず、最後まで怪我なく乗り切りたいと思います!