昨年の夏にオープンした、〝宇治天然温泉 源氏の湯〟。

この源氏の湯の露天風呂から正面の庭まで。
全ての造園工事を松原造園が手掛けさせていただいたのが昨年の夏でした。

その源氏の湯に〝和韓豚菜 紅屋〟というお食事処が御座いまして、ここの奥座敷の庭も、もちろん我々松原造園が手掛けさせていただいたんですが。

工事の最中、建築の設計士のおっさんがしょうもない意見を言いよるもんで、中途半端な仕上がりになってしまってたのが、ずっとずっと気懸かりではありました。

どうです。中途半端でしょう。

本当は、ここにそのときの経緯をクドクドと書きたいところですが、悪口になっちゃいそうなのでやめておきます。

ともかく、この紅屋の奥座敷の庭は、自分の中ではやり残してる感がずっとあったもんですから、近いうちに必ずやり遂げてやろうと企んでおりました。

それから半年。
今回、なんとかその機会を頂戴しまして、念願の改修工事をさせていただけることになりました。

「藪でいいんだよ。こんなところの庭は」ってのたまうんです。
その設計士は。

竹を植えて、モミジを植えて、あと適当に椿やらを植えとけばいいんだよみたいな。

料理屋さんの座敷から見える、板塀に囲まれた庭が〝藪〟って。
見たことも聞いたこともないです。

藪でいいんだと言われながらも、入れたい石どもはどさくさに紛れて放り込んでやりました。
背の高い柱状石や巨大な丸い石臼なんかがそうです。

だってその時から、あとで自分の好きなようにしようと、もう既に考えていましたから。
大きいのは、後から入れるとなると何かと大変ですもの。

「お前ら造園屋はすぐに〝庭らしいもの〟をつくろうとするから好かんのだ」みたいなことも言われました。
深いことを言ってるようですが、それでなぜ〝藪〟に行き着くのかは理解できません。

とにかく、そんな設計士の言葉は忘れて、自分のしたいようにさせていただきました。

元々の庭にプラスしていく感じです。
奥に井筒を組んで。
青竹を使った仕切りで足元を引き締め。

そういえば、「杉苔なんていらん。カッコ悪い」とも言うてましたけど。
張ってやりましたよ。杉苔を。

造園屋でどうもスミマセン。
しかしこれで、モヤモヤしていたものがスッキリしました。

紅屋でお食事の際は、ぜひ奥の座敷でごゆるりと〝お庭〟をご覧になりながら、ゆっくりと寛ぎ下さいませ。