前回の続きです。

前回の記事は
青石を使った枯山水庭園①
 

石組もほぼほぼ出来上がり、
織部灯籠も据え、

 

蹲踞も組み終わりましたらば。

一旦、築山の地形を整えます。

築山の起伏や汀線は当然
石組をしている時から想定していますので、
その通りに肉付けしていく作業です。

陽光が射した時の陰影はどうか、
雨が降ったときの雨水の行方はどうか、

そして次に行う庭木の植え付け、
下草の配植といった仕上がりのイメージを
確認しながらの作業。

いよいよ植栽です。

先程整えた地形をもう一度ほぐして、堆肥等を加え、
土壌改良を施し、そしてこの場所で
元気に育ってくれることを願いつつ、植えつけていきます。

 

愛情ってのは、料理だけに限ったことじゃなく、
庭にも隠し味として使います。

 

日当たりがあまり良くない場所なので、
日陰に強いアオキや藪椿、寒椿、
沈丁花といった陰樹を選んで植えました。

アセビも山なんかに行けば、
覆い茂る雑木の足元なんかに
自生してるような、丈夫な樹です。

そして、もう一度築山を作り直したらば、
苔を張り、砂利を敷きます。

とりあえず、これで完成です。

 

〝とりあえず〟と付けたのは
 これからが庭づくりの始まり。とも言えるからです。

当初設計に入れていた
春日灯籠が入りませんでしたので、
水を模した砂利も使って、枯瀧組をつくりました。

 

私自身の個人的な好みとしては、
春日灯籠のような形の灯籠よりも、
織部のような生込灯籠の方が好みですので、
結果的には私好みに近づいた庭になりました。

 

蹲踞も、小ぶりで簡素な蹲踞になるよう
気を付けてつくりました。

 

六方石の凛とした立ち姿と、織部灯篭の醸し出す静寂さが
小ぶりで簡素な蹲踞に存在感を与えてくれています。

和室の雪見障子から見える、蹲踞の景色も計算通り。

 

バッチグーです。

もう春もすぐそことはいえ、
まだまだ朝夕の寒暖の差が激しく霜が立ちますので、
出来たばかりのお庭に申し訳ないのですが、
コモを敷くことにしました。

 

霜で苔の根を傷めないための養生です。

しかし、植物もそろそろ動き出す準備を始めていることでしょう。
モミジが芽吹き、透き通るような若葉を開き、
杉苔が青々と輝き出したときの
お施主さんの楽しそうな笑顔を想像しただけで、
もう楽しみで楽しみで。

春が待ち遠しくて仕方ありません。