今回ご紹介させていただきますのは
前回のブログの最後に

「これから石組みをやりまんねん」

なんて紹介していた作庭工事でございます。

場所は城陽市。
地元です。

お施主さんは事前に、私のこのブログも見て下さっていたので、
打合せもスムーズに進みました。

今回のご依頼は、裏の敷地に庭をつくってほしい。
ということでした。

 

これまで、あまり有効活用していなかったスペース。

ここに和室やリビングから眺められるお庭を
つくることになります。

打合せは、その和室でさせていただきました。

庭そのもののデザインコンセプトはお任せします。
ただ、樹木は四季に花や変化が楽しめる樹種を。
ということでした。

和室には雪見障子がはまっています。
そこから見える風景は
今はまだ黒ずんだコンクリートの擁壁と砂利だけ。

この殺風景な場所を、深山幽谷を思わせる
ような景色にすることが私の仕事なのです。

おっと。
深山幽谷ってのは、少し大げさでした。

お施主さんからお話しを伺ってる中、
俗にいう〝日本庭園〟ってのがお好きなのかなと。

なんだか、ぼんやりとそんな風に思ったので
それを頭に置きながら描いてみました。

 

正面のコンクリート擁壁には
人工の建仁寺垣を張り付けることにしました。

両サイドの目隠しには
竹垣とのコントラストが美しくなるよう、
こげ茶色の防腐塗料を塗った桧の板塀にします。

この色は樹木の緑がよく映える背景となります。

二基の灯籠、左側の小さい織部灯篭と
右側の春日灯籠、そして蹲踞に使用する水鉢は
お施主さんのご実家からの移設となります。

しかし搬入路が狭いため、結果的には
春日灯籠は入れることが出来なかったのですが。

その他、若干の変更は多少あったものの、
おおむねこのパース通りで決まりました。

さて。
作庭開始。

 

背景の竹垣を張り付けまして、次は早速石材を搬入。
石組の作業にかかります。

機械が入れませんので、三又を使い、
ひたすらチェーンブロックで石を吊っては下ろし、
回したり起こしたり、埋めたり寝かしたりを
時間が経つのも忘れて繰り返します。

 

と言いましても、
同じ石を何度も動かすことはそうありません。

ある程度はこの石はここでこういう風に使う、とか
あの石はこう、とか、頭の中で決まっておりますから。

 

石組ってのは書道と同じです。

大体頭の中でどんな文字を
どんな感じで書くかは決まっていて
一画一画の線の出来上がりによって
次の一画を微妙に調整しながら
一瞬のインスピレーションで書き上げる。

たとえば二画目は、一画目の影響を受けて
絶妙に位置や太さやバランスをかえてゆく。

同じく三画目は、二画目までの影響を受ける。

飛び散った墨の飛沫も作品の一部として
受け入れながら考慮し、書き上げる。

 

あるいは〝静〟。
完成形としてバランスよく。

あるいは〝動〟。
挑戦的に突き抜けてみたりとか。

石組も全く同じことです。
作り手のイメージと
一瞬一瞬のひらめきによって組まれていきます。

逆に言えば、
その時の作り手の気分や感情によって、
出来上がりの作品は
大きく変わるということでもあります。

そして人それぞれ、字に癖があるように、
石組にも独特の癖がやっぱり現れるんです。

 

ちなみに、この文章も
一瞬のひらめきで書きましたので、
分かりやすく書いたつもりですが
分かりにくい文章になっているかもしれません。

そして、これ。
いつも以上に長々と書き綴っておりますのは
いつも以上に写真を撮っていたからであります。

いつも以上に写真がありますのは
実はちょっと前にギックリ腰をやらかしてしまい
自ら現場で作業が出来なかったからであります。

ということで、
長くなったので二回に分けます。

青石を使った枯山水庭園②につづく