以前から大阪の河内・泉州方面の剪定方法に興味があったものですから、
大阪の泉州にいる植木屋仲間の友人に無理を言って、
得意先や材料屋さんなんかを見せてもらえる機会をいただきました。

造園技術も、言葉に方言がありますように、
地方によってその土地の風土独特の技法や風習があったりするわけです。

松原造園のホームグラウンドは、京都でも南の方の、
〝京の都〟と〝奈良の都〟のちょうど中間辺りに本拠地を構えておるんですが、
でもやはり、造園技術の方は京風を継承しております。どちらかといえば。

自分たちは、当たり前だと思い込んでたことが、
他所に行くと、「え~!?そんなんアリ!?」なんてことがありますよね。

そこで大阪泉州に、ケンミンSHOWよろしく、
カミングアウトしていただこうと一人、泉州に乗り込んだ訳であります。

で、今回カミングアウトしていただいたのは、松の剪定方法。
こちら泉州ではね。
松の葉っぱを切らはります。
ざくっと。

もちろん、個人個人でやり方が違うでしょうし、一概には云えませんが。

特に、この日私がお邪魔した生産者さんのところでは、
詰めて詰めて詰めまくり。
一切枝なんて透かしたりしません。

そこに、さらに葉っぱを切って短くしはりますので、かちっとした棚が出来上がります。

  
 

たとえば、私らの松の剪定ですと、神経質に細かく枝を透いていきまして、
そして、これまた神経質に、一芽に松の葉が十枚前後くらいになるように
不要な葉っぱをもみはずしていきます。

もちろん、葉っぱを切る習慣はありません。


 
写真では判りにくいですが、仕上がりはこんな感じ。
同じ黒松なんですけど、その風貌は全然違います。

しかしここの畑にある黒松。
全て細かくはっきりと棚分けされていて、まさに襖絵や屏風絵の松のようです。

 

まだ若いけど、かっちょいい~♪

かつて一昔前は、
「庭の主役といえば〝松〟でしょう」とか「松がなければ庭やない」
みたいなことで、松がもてはやされていた時代もあったんですが、

松は手入れに手間がかかる=費用がかかる

ということで、今やかなり敬遠される樹種になってしまっています。

しかし、ここの畑では、見渡す限りほとんど松。
もしくは槇しか置いてません。

生産者さん、超硬派。

 

下手な足立美術館を彷彿させる?景観です。

かっちょいい~♪

とはいうものの、どちらの剪定方法が正しいか、なんていうものはないです。
もし私が泉州で、普段の手入れのやり方で松なんかを剪定した日にゃあ

「おい兄ちゃん、ワシの松、こんな揉み上げしくさってあほんだら。
ワレほんま、耳の穴から手ェ突っ込んで、奥歯ガタガタいわしたろかい」

なんてお施主さんに怒鳴られること必至。

逆に、泉州の人が京町屋の松を手入れしたりなんかすると、

「いや、あんさん、かなんわぁ。ウチとこの松、ちんちくりんにしてしもて。
お隣さんに、庭の手入れ代、値切らはったんちゃう?って陰で言われたら、
どないしてくれはるえ?」なんて言われかねませんから。

そして、これだけは容易に真似出来るものでもないんですよね。
松の剪定ひとつをとっても、それほど単純でもない。
癖になってるというか、沁みついてるといいますか。
日々の修練で培った技ですから、他人の筆跡を真似出来ないのと同じです。

とはいえ、また少し違った視点から造園技術というものを垣間見れたということで。

「へぇ~」とか「ほぉ~」とか、「おもろいなぁ~」とか。
数えきれへんほど言った、とても有意義な一日となりました。

改めて泉州の友人、讃岐さん。ほんまお世話になりましたm(_ _ )m