庭NIWA春号の〝日本の庭 巡礼〟に掲載されていた
一乗谷朝倉氏の庭園遺跡の石組に一目惚れ。

一乗谷。

福井市内か。車で走って二時間半ってとこか。

イケるか。イケるな。

思い立ったら、なるべく直ぐ行動。
って、なかなか出来ないんだけど、それをモットーにしたいなと
常に考えている僕は、今回だけはその勢いのまま名神高速に乗り込みました。

越前朝倉氏が織田信長に滅ぼされて後、
再び歴史の表舞台になることはなかった一乗谷。

昭和に入って発掘されるまでの400年間、この池泉回遊式の壮大な石組も
半分くらい土に埋もれていたんだそうな。

室町時代の石組か。

直観に任せるまま来てみたけれど、うん。いいよ。

一乗谷に着いた途端、雪がしんしんと降ってきたけど、それもいいよ。

冷え込みもさらに増してゆく中、こんな日に訪れる物好きは他にいるはずもなく、
ただ一人石組と対峙するこの時間もすごくいいよ。

朽ちることがない故に、山裾に取り遺された石組。

当時の姿に復元することもなく、遺されたその姿は
たしかにもう庭園とは呼べず遺跡でしょう。

しかしそれ故に、否が応にも想像力を掻き立てられてしまうところもまたいいよ。

主となるこの立石の高さはなんと四メートル。
となると、重さは目測で五~六トンくらいでしょうか。

もちろん機械なんてあるわけないですから。
どれほどの熱意と人件費をこの庭に注ぎ込んだのか。

そんなことより、この石組の構図と言いますか構成と言いますか。
それぞれ個々の、思い思われのバランス加減、持ちつ持たれつの力加減。

そんなところを学んで、次からの自分の仕事に活かさねば。


などと、思いふけっている間に
風も出てきて、雪は横降りになりつつある。

寒さに限界が来たわけでは決してないが、
室町人の仕事に敬意を表しつつ、一乗谷をあとにしました。