2011年11月に完成した庭園改修工事のご紹介です。
『古くなって漏水した池をやりかえたい』
との依頼を受けましたのは去年の8月だったでしょうか。
お庭に伺いますとその広さに驚いてしまいました。
池があるとおっしゃられていたので
そりゃ普通のお庭とは違うと思っていましたが
お庭の敷地だけで150坪はあろうかというほどの広さ。
ハンパなく広いです。
しかも池は3つも!!
想定外の規模に言葉を失ったのを記憶しております。
で、その古くなって漏水してしまっている3つの池というのは
敷地を横断する形で連なっております。
$庭志から庭師へ
西端の石のオブジェを源泉として
東にあるA・B・Cの3つの池に流れ込む構成となっておりまして
漏水しているので水もなく、ポンプも稼働しておりませんでしたが
往時はホテル顔負けの壮大な水の景が広がる
素晴らしい庭だったに相違ありません。
最終的には2期工事を含めてお庭全般の改修工事をさせていただいたのですが
ブログではメイン工事となりましたA・B・Cの赤で囲んだ
それぞれ3つの池をご紹介させていただきます。
まずはAの池。
この池が一番下流で、最後に水が流れ込む池になります。
着工前はこんな感じで、水深は20㎝程度でした。
$庭志から庭師へ
飛石の向こう、ドンと横並びに据えられた2つの石のてっぺんから
水が流れるようになっていたんですね。
この石の瀧口はそのまま使って、水深を1mまで深くしました。
ガガガっと一旦取っ払いまして。。。
$庭志から庭師へ
はい、完成ドン。
$庭志から庭師へ
名付けて 『桟橋のある池』
既存の構造物を残しつつ
気を遣いながらの掘削作業は苦労しましたとか、
生コン打ちや防水工事なんかも大変でしたとか、
セメントのアク抜きは無我夢中でやりましたとか。
そんな作業途中の苦労話はどうでもいいんです。
アーティストは作品が全てですもの。
そこに言葉は要りません。
…と、カッコよく言いたいところですが、
私はアーティストじゃなくって職人ですのでちょこっとだけご説明を(●´ω`●)ゞ
『ソファーで腰掛けたときに眺めたら、格別な気持ちになる風景』
というのを意識して設計しました。
池の向こう岸へは木製の桟橋でもって渡ります。
$庭志から庭師へ
向こう岸は生野丹波石をつかった石畳。
$庭志から庭師へ
そして生野丹波石の小端積み。
この壁の向こうに一つ上の池があります。
それにしてもこの小端積み、いい雰囲気でしょ~。
生野丹波石って一つ一つは別段なんてことない石なんですよ。
材料で搬入したときはこんなんですから。
$庭志から庭師へ
大した石に見えないでしょ。
だけど、こうして丁寧に積み上げると
石に深みが増しますよね。
$庭志から庭師へ
改めて見ると、やっぱカッコイイな。
また使いたいなぁ♪
別角度からのビフォーアフター。
これが。
$庭志から庭師へ
こう。
$庭志から庭師へ
今はこの池に錦鯉が優雅に泳いでおります。
高木は常緑樹のシマトネリコを植えました。
もう少し成長してくれると、シマトネリコの小さくて光沢のある葉が
柔らかい陽射しを庭に取り入れてくれることでしょう。
足元も低木や下草をたんまり植えましたが、
今はまだ苗の状態ですので、寂しい感じがしますしね。
植栽はもうちょっと先が楽しみです。
次回、桟橋のある池、流木の池、石のオブジェの池。のある庭(後篇)へつづく。