昨年末になります2011年12月に完成した庭をご紹介させていただきます。
お施主さまは、ブログにて我が社を知って下さいましてですね。
ブログにて紹介しております松原造園が手掛けた過去の作品などを見ていただいて、「なかなかエエじゃないの」と気に入っていただき、(←この辺は想像ですが)
「ウチの庭もちょっとプランを練ってみるかい?」と、ご依頼をいただきましたのは2011年4月のこと。
喜び勇んで馳せ参じましたらば、驚きました。
「旧村落のど真ん中で母屋を建て替え…」とご自分で仰られる通り、旧家だけに敷地の広いこと。
$庭志から庭師へ
写真で車が駐車されている場所は以前は庭だったそうなんですが、工事のために大部分が取り壊されたそうでして。
樹木や庭石などは奥にまとめられたままの状態でした。
写真の車の前方に瓦の屋根が見えますでしょ。
これはお隣さんじゃございません。
敷地内に建てられた離れになります。
ね。広いでしょ。
さらにその奥には蔵があります。
で、その裏にはちいさな畑がありまして…。
とまぁ、この辺で広さは伝わったでしょうか。
私らからすれば、土地が広いのは羨ましいばかりなんですが、それはそれでやっぱり色々と大変なんだそうで。
順番に老朽化してゆく建物。
一度に全て建て替え!! なんてことは出来ませんので、長期的な計画でもって取り組んでいかねば、お金も時間も大きなロスとなってしまいます。
庭もまた然り。
というわけで、この先暫くは触ることはないであろう部分から、庭の改修工事をすることになります。
まずは上の写真の部分。
表玄関へのアプローチです。
ここはきちんとつくらないと、せっかく建てた家が台無しです
写真では車が駐車されてますが、実際に普段使うガレージはちゃんと別にあります。
ですので、普段はここは全てアプローチとなります。
ただ、お客さんが来られた時には駐車スペースとなるようにもしたいとのこと。
ということで、私のプランです。
$庭志から庭師へ
花崗岩と大磯砂利の洗出しをメインにデザインをしました。
で、完成がこちら。
$庭志から庭師へ
前のお庭で使ってあった石材を上手く利用しました。
アプローチ中央の長方形の石材(花崗岩の板石)なんかがそうです。
$庭志から庭師へ
アプローチとアプローチの間のタマリュウの部分。
『いざという時に車が駐車できるように』とのことでしたので、平たい自然石を据え、車が乗り入れられるようにしました。
また、石と石の隙間に植えたタマリュウは非常に丈夫な植物ですので、少々の乗り入れ程度なら耐えてくれるでしょう。
本来ならば、ここにもちゃんとした植栽をしてあげればもっと庭らしくなるんですが仕方ありません。
反対からはこんな感じ。
$庭志から庭師へ
これでいざというとき、車5台くらいは駐車できます。
玄関前のシンボルツリーはソヨゴです。
シンボルツリーの周りは伊勢ゴロタを敷き、モダンに仕上げました。
続いて裏庭です。
こちらは仏間から眺める庭となります。
着工前はこんな感じ。
$庭志から庭師へ
実は裏がお寺になるんですよね。借景がええでしょ。
で、私が提案させていただいた、この借景に合うプランはこちら。
$庭志から庭師へ
先ほどと違い、これは渾身の一筆です(笑)
この庭は坪庭と露地の機能を併せ持った庭ナリ。
飛石園路より、前景・遠景と分け、
前景は既存の手水鉢を使い、
遠景にはブロック塀と竹垣(御簾垣)を併せた目隠し塀を設け
その足元には道あかりと前栽を添える。
主木は山モミジとし、軒瓦の袖垣によって室外機を隠す。
(モダンであって)小さくまとめず
どこかざっくばらんな良い意味での田舎臭さを残す。
そんな庭に仕上げたい。
と、そんなことが下手な字で書いてあります。
で、これが完成。
$庭志から庭師へ
なかなか手水鉢がカッコイイでしょ。
これも元々ここのお家にあったものなんです。
新築工事の折、移設されたのでしょう。庭石の隙間にひっそりと紛れ込んでいました。
見た瞬間、『こんな感じに使いたいやんけ』と真っ先に思いついたのがこの庭です。
$庭志から庭師へ
足元には黒御影石を張りました。
瓦の袖垣、手水鉢、筧のバランスが上手くとれたんじゃないかと思います。
砂利は白川砂利ではなく、錆び色の伊勢砂利を使いました。
田舎っぽさを出したかったもので。
次回、京都府 京田辺市の庭(後編)では、和室から眺める石組と延段をご紹介させていただきます。
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