1か月ほど前に完成した庭園の改修工事を紹介します。

今回は改修工事です。

元々の庭をベースとして、少し手を加えさせていただきました。

改修前の写真です。

庭志から庭師へ
この庭をつくってから、20年以上経つんだそうです。

奥さんもご主人も娘さんも、大の花好き。
20年間、気に入った花を見つけては、あっちに植え、こっちに植え。
そうこうする内に、庭は花だらけになったとか。

写真は3月に撮ったものなので、あまり花はないように思われますが、土の中には、春を待ちわびた球根たちがひしめき合っています。

で、花はどんどん増える一方。

しかし、年月とともに、自分たちの体力はどうしても衰えていきます。

そこで、「この際、思い切って花の数を減らし、石と灯籠を入れて庭の体を整えよう」となったわけです。

なるほど。

言われてみると、この庭。松はあっても、石が一つもありません。

お客さんとの打ち合わせを経て、高木はそのまま残し、前述の通り石と灯籠を入れることを主体に、改修工事が始まりました。

まずは石組。

掘り進めると、出るわ出るわ。球根たち。
今回は「思い切って花の数を減らし・・・」ですから、この球根たちは残土と一緒に処分しましょう。
すると、「それは○○○の球根なんですよ」と奥さんの声。
「可愛らしい花が咲くんです。私、その花が好きなんです。出来れば隅の方にでも植えてもらってもいいですか?」

「へえ。そんなかわいい花が咲くんですか。わかりました。植えておきますね」と私は笑顔で答えました。。
笑顔で答えましたが、全く困惑していないと言ったら、嘘になります。

『思い切って』だったはずなのに…なんて。

だけど、長年可愛がってきた草花たち。やっぱり愛着が湧くんですよね。
いいでしょう。

お客さんと私、一緒にいい庭をつくりましょう。
と、直ぐに気持ちを切り替えます。

ところで、『いい庭』ってどんな庭だと思います?

何をもって、『いい庭』だと言えると思います?

私は、『好きな庭』あるいは『好きになれる庭』が『いい庭』だと考えます。
この場合、お施主さんが『好きになれる庭』をつくるのが私の役目だと。
当たり前のことかもしれませんが、そこはブレてはいけないと思っています。

もちろん、つくり手の私自身も『好きになれる庭』をつくらねばいけません。
好きになれないものをつくったって、いいモノが出来るわけがありませんから。
ですから、好きになるために、譲れない部分はあります。
今まで庭に携わってきた経験上、それでは庭は良くならない。と。

そんな流れで、お客さんと一緒になってつくった庭です。

庭志から庭師へ
一枚目の写真と同じ角度で撮影しています。

別の角度から

庭志から庭師へ
これが。。。

庭志から庭師へ
こんな感じで仕上がりました。

灯籠は泉涌寺の八角雪見です。

石組と華。

庭志から庭師へ

庭志から庭師へ

なかなか面白いと思います。

ウチの職人さん、花田クンと華。

庭志から庭師へ
この意外性も面白いと思います。
掃き溜めに鶴って感じです。

工期としては、約1週間ほどでしたが、ホントに楽しい時間を過ごさせていただきました。

ありがたいことに、この工事を機会に、これからは我々がお庭の管理もさせていただくことになりました。。
なにより、日ごとに仕事が進むたびに、お客さんが絶賛して喜んで下さったのが嬉しく、また励みになりました。

工事中は芽が出ていなかった草花たちも、5月に入って元気に咲き誇り出しました。

場所によっては、背丈などバランスの悪い部分も若干あります。
その辺は、これからの管理の中で、追々植え直して行こうと思っています。